ヘルガ・リオーヌ(享年27)
前大戦において八洲空軍に雇われて数多くの戦果を残した傭兵
雷を予測できる能力を持ち、そのため特に悪天候での戦闘を得意と
する “嵐の魔女”と呼ばれた女
長い銀色の髪に優しげな容貌は、とてもそのような勇ましい異名に似
つ かわしくないが、笑顔はともかく雰囲気だけは紛れもなく、空戦エー
スに 相応しいもの
船乗島の伝説的船大工ムスタファ・ヤジズ・アイユーブの手による砲船
“キャッツ・ソー”の前船長
尾翼に描かれたパーソナルマークは“ウイッチハットを貫く稲妻”
生き別れの弟を捜していたが、途半ばで雇い主のウラジミール・ボロ
ディン の手によりブローツォワにて殺害さる
亡骸はブローツォワ南部にある無人の岩礁に葬られる
★ハイライト
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天候は、いつのまにか酷い荒れ模様になっていた
低空域との境目になる分厚い雷雲で構成された雲海が、随分と上まで来ているのだ
湿気の影響で中空域にもあちこちに雷雲が生まれ、雨もひどい
そして更に、懸念していた危険が後背から迫る
「来たぞ! 上空、雲の陰にカリコフのグローツィベが2隻だっ!」
稲光に照らされた巨大な船影に、カリコフの紋章
次々とこちらを目掛けて発進してくる、ヘクセン級の影は10を越えている
猛烈な雨の中を走る雷光に無数の黒い翼が煌き、砲火の轟音が鳴り響いた
しかし前方を行くヘルガの船から発される信号は、応戦せず我に続けの指示
発光信号が3回ほど瞬いたかと思うと、ヘルガは急激に船首を下げた
追随してそれを追うゲルハルト
ヘルガはそのまま怖じた様子もなく、まっしぐらに雲海の中へと突っ込んだ
暴風雨と共に猛烈な稲光が間近を通り抜けてゆく
右も左もわからぬ強烈な雨
ただ前方を行くヘルガが船尾に強い光を掲げ、導くのが見えるだけ
僅かの時間があってから、追撃するカリコフのヘクセン級も次々と飛び込んできたようだ
しかし飛び込んだ刹那に、先頭の1隻が雷光の直撃を受けて吹き飛んでゆく
その破片に巻き込まれ、編隊を組んでいた2番と3番機の姿も見えなくなった
ヘルガはと言えば、まるで雷光の発生地点がわかるかのように発生の直前で機動を変えている
追随するだけでもかなりの技量を要求される無茶な機動だが、操縦桿は離さない
十字に交差する稲光を、大きく船体を傾けながら飛び越えて
どれほど雲海の中に居たのだろうか
感覚としては何時間も居たように感じるが
ようやく上昇して抜けた空は、まだ未明の漆黒に包まれて
恐らくは1時間にも満たない時間だったのであろうと想像できる
追随していたヘクセン級は、遂に一隻も雲海を抜けては来られなかった
最大速度で振り切ってゆくこちらの2隻に、上空後方のグローツィベが無念げな投光を続けている
空が明るくなりかけた頃、ようやく前方に先程とは色の違うグローツィベが見えてきた
ツタの覆い茂った門の紋章は、ブローツォワ大公のものだ―
2 件のコメント:
……悲しいですね。生き別れの弟さんを探し出してお姉さんのお墓に連れて行ってあげてくださいな(TT)。
そうですね、弟くんのイベントがまだ残っているようなら、探し出してあげたいと考えています
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